6月下旬、Rush Gamingの3週間に渡るアメリカ遠征、そしてCWL Anaheim 2018への挑戦が終わった。
さらにプロ対抗戦での連勝記録に終止符が打たれた時期でもあった。
選手、スタッフ、そして多くのファンが、リーグ戦の結果を通じて複雑な感情を抱いていることだろう。
Rush Gamingに、何が起こったのだろうか。マネージャーの視点から紐解いていく。
Rush Gamingは、CWL Anaheim オープンブラケットにおいて最も期待されていたチームの一つだった。
メンバー個人の発信活動や遠征中のドキュメンタリー動画などを通じて、国内外より多くの注目を集めていたためだ。
彼らは遠征中でもその知名度を活かし、「Gone Gaming」「eUnited」「FaZe」といった名門を含む西海岸の強豪たちと交流を図り、練習にこぎつけていた。
多くの選手にとって海外遠征は、未知のかたまりであり、普段とは違う環境の中で明らかにストレス負荷のかかる状況と認識されるだろう。
言語や文化の違う環境下になると、それらへの干渉を回避しようと宿泊先付近へ遠征中ずっと留まる人もまた多い。
そういった環境の中でも、Rushメンバー4人は「筋力トレーニングをする」「近場の公園でバスケをする」など、環境の変化に負けじと各々が日々リラックスする方法を作っていた。
また、ショッピングや外食なども、三井住友カード(SMBC)を有効活用することにより、現地の通貨を極力使用する必要がなく生活することができた。
彼らは遠征中、常に練習相手を探し続け、対戦し、
ついにはそれが日々のルーティンとなっていた―――
―――それが、自分達の致命的な欠点を知ることに
繋がるその日まで。
大会を控えた数日前、選手達とマネージャー陣は、Rush Gamingに大きな欠点が存在しているという事実と直面していた。
このチームには明確に司令塔と呼べるポジションがいなかった。簡単な指示をチーム内に伝達することもままならない状態だった。整理されていない情報の数々がチームのボイスチャットで飛び交っていたのだ。
日本では経験することのなかった、アメリカで味わい続ける”止まらない連敗”を機にチームはこの欠点に気づかされることとなった。
圧倒的な力により連勝を続け国内トップとして君臨していたこと。その事実が、チームの弱点をただ覆い隠していたに過ぎないのだった。
チームは、この内部的な欠点を短い期間で克服しようと最善の努力を尽くした。そして彼らは胸の内に「準備不足かもしれない」という懸念を抱きつつも、初の世界大会に臨むことを心から楽しみにしていた。
間違いなく、世界の舞台において自分達の技術が劣っている事実を
認めるということは決して容易ではない。
遂にトーナメントが幕を開け、Rush Gamingは初戦を大敗で落としてしまう。
相手との実力の差は、誰が見ても明白だった。
Impact Gamingを相手に、0-2で敗北。
Rush Gamingは、ルーザーブラケットを走ることに。
『キャプチャー・ザ・フラッグ(以下CTF)』はRush Gamingにとってお家芸として得意とされていたが、そのモードは常に各マッチの第3戦目に設定されていた。2本先取のオープンブラケットルールでは、なかなかRushが強さを発揮できる機会に恵まれなかった。
続くルーザーブラケットでの1戦目、Rushは見事に勝利して2日目へと進む切符を手にした。
Rushメンバーだけでなく観客も相手の情報を知らず、そしてRushは敗北手前まで追い込まれてしまった。しかしここで持ち前の勝負強さをCTFにて発揮し、2-1で勝利を掴む。
「CWL Anaheim 挑戦の記録」動画を視聴して、チームの遠征時の様子をさらに深く知っていただきたい。
後編に続く。