Rush Gamingの、世界における現状の実力について
2018年BO4シーズン。 日本がいよいよCWL(Call of Duty World League = CoD公式世界大会)に正式参戦が可能となりました。 去年のアナハイム大会は、本当に日本から初めての世界挑戦ということで右も左も何もわからず、ただ打ちのめされて帰ってきたのが正直な感想です。 しかし昨シーズンのアナハイム大会、そして今回のラスベガス大会までの半年を通じて、ぼくたちが感じた事、わかったこともありました。 以下は、あくまで僕たち目線での、(多分に独断と偏見もある)解釈・理解ですが、CoDのeスポーツ事情、日本と世界の実力差、そして僕たちの等身大の考えなどを、お伝えできたらと思います。 CWLオープン大会の概要 まずは簡単に、オープン大会について紹介します。 オープンブラケット/オープン大会(日本は今年から、基本的にはここに挑戦します) チームパスを購入することで世界中誰でも出場出来る大会 世界大会出場!というのは別に大した事ではありません、誰でも3万円前後のパスを買う事で挑戦できます アメリカ、オーストラリア、イギリス、日本、他ヨーロッパ諸国などのいくつかのエリアは、それぞれ代表戦にて優勝することで招待参加が可能(チームパス費・渡航費・宿泊費が補填される ラスベガス大会へは、Rush Gamingはこの枠で参加しました 最大256チームで争うダブルエリミネーショントーナメント(※1) ウィナーズ上位4チームがPool Play(グループリーグ)進出 ルーザーズ(1敗した人達によるトーナメント)上位4チームが決勝リーグルーザーズ1回戦進出 単純計算7連勝すればウィナーズTOP4に残れる プロポイントによるシード分けがありシードの高いチームと低いチームが当たるトーナメント形式 (Vegasでは昨年のWW2シーズンのポイントでシード分けされた) Pool Play(グループリーグ) トッププロチームのグループリーグ 総当たり戦 4Pool 各5Team の全20チームで争われる 12チームは昨年のプロリーグの結果から選出。 4チームは前日の招待制トーナメント上位4チーム 残りの4チームはオープンブラケットの上位4チーム 決勝リーグ ダブルエリミネーショントーナメント形式。 Pool Playの各プール上位2チームがウィナーズブラケットに配置される 各Pool 5位はルーザーズ1回戦、4位は2回戦、3位は3回戦に配置される ※こちら参考に、昨シーズンのアナハイム大会の図 https://twitter.com/RushGamingJP/status/1007463991017287681 世界のCODチームランク 今回僕たちは、自分たちの目標を明確化する為に、以下をまとめてみました。 「勝ちます!」では、どうにも具体性がなく、目標にしづらく、対策が大雑把になるからです。 ※ わかりやすくイメージする為、筆者の独断と偏見でランク付けしています。 自分達の実力や目標を明確にすることを主な目的としていますので、ご理解頂ければ幸いです。 また、皆さんの参考にもなれれば嬉しいです。 ▼ランクS ~ A トッププロ Pool Play(グループリーグ)12チームに選ばれるチーム 例)Optic Gaming, eUNITED, Faze Clan, Luminosity Gaming, Mind Freakなど 世界の上位約20チーム Sクラス:Optic Gaming, FaZe Clan, Luminosity Gaming, 100Thieves など このランクにいる選手達はほぼすべて専業選手達です。 オープン大会以外にも「プロリーグ」と呼ばれる別の大会が存在し、年間を通してプロとして活動するチームです。 尚、SクラスとAクラスの間では、実力差はさほどでもないですが、大きな収入格差が存在します。 Aクラスでも選手年収は300万円程からという情報もあり、チームによっては利益がでていないところもあります。 Sクラスチームではじめて年収規模が1000~2000万円台になり、年によって数倍、億にも膨れ上がります。(賞金収益や、個人のストリーミング収益により) 個人、及びチームの人気に応じて天と地ほど収入格差があるのは、世界も日本もさほど変わりません。 ━━━━━━━━━━━━力の壁━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼ランク B プロ/セミプロ オープンブラケット上位常連(シード1~20)。 Pool Playに行ける可能性が高い約20チーム 例)Tainted Minds, Ghost Gaming, Gone Gaming, Heretics, Lighting Pandas など このランクだと、”プロ”として専業としてやっている選手がまだ多いです。 そうでない選手・チームもあります。 ▼ランク Cトップアマ オープンブラケットTOP32に入る可能性が高いチーム(シード21~50) 例)InControl, Mazer Gaming, ReacT Gaming, など このあたりにくると、チーム名がほぼないチームも多いです。 有力個人の集まった即席チームが主で、 選手たちは所属組織から名前とブランド、そして渡航費と宿泊費のみの支援を得て活動してるところがほとんどです。 元プロ、セミプロも多く存在します。 ━━━━━━━━━━━━力の壁━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Tier D 中堅アマチュア(シード51~120) Tier E アマチュア(シード121~200+) ━━━━━━━━━━━━力の壁━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ それ以下 さて自分たちはというと、自分たちも含め日本のレベルは現在Dの上位くらいに位置しているのではないでしょうか。 ランクCのチームと善戦出来る事はあっても、勝率としては1〜3割という認識です。 今回のオープンブラケットでも、シード50~100位前後の相手には勝てているものの、シードが50位以内の相手にはまだ勝利することができていません。 ※Terror Rising は、Rush Gamingのコーチが在籍するチームです。 自身のチームをCランクと自己認識する為には、Cランクのチームと勝率5割以上、Bにも善戦出来るレベルであることが必要ではないでしょうか。 Rush Gamingのコーチ、ストーリー君は、所属しているチームの現状の実質的な実力としてはCの上位、個人ではC上位Bのチームにいてもおかしくない実力です。 (日々練習してるのは、AランクのNVやFaZe、EUの選手たちを含む著名プレイヤーと、トップアマの選手達) 今回の大会では、弊チーム以外のチームも入れた全チームが初戦でBランク、ルーザーズの最後の試合でB~Cランクのチームと当たっており、負けはしたものの確実に前回と比較して距離が縮まった感触を得ていると思います。 Rush Gamingとしては、アナハイムの時点では自分たちのレベルは ランクE だったと思っていましたが、今回の大会までにランクDくらいの実力に成長できたのではないかなと思っています。 そして僕たちの目の前の目標は、まずはCランクへの格上げです。 そのためには、BやAチームにもある程度通用する必要があるので、今後も頑張っていきたいと思います。 ▼GreedZzによる、ラスベガス大会振り返り動画はこちらから おまけ アメリカの選手事情 チームでの戦績よりプレイヤーのプロポイントが重視されており、シーズン中の選手の移籍は頻繁に行われています 毎オープン大会毎にロスター (※2) 変更されるのが当たり前の文化です プロチームで活躍が大きい選手はトッププロチームに引き抜かれ、成績の悪い選手はチームからキックされてしまいます(頻度が1−3ヶ月に1回あるレベルです トップアマの選手は大会で好成績を残し、上位のチームへのスカウトを常に狙っています 日々の賞金付き大会の賞金で生活しているアマチュアプレイヤーも大勢います 大会の結果次第で生活に影響が大きいので、学生や実家暮らしが非常に多いです 公式大会に出場できない18歳以下の選手層も厚く、ロスターではないもののトッププロチームに所属している人もいます 18歳を迎えた際に、既にトッププロチーム入隊がほぼ確定しているようなプレイヤー アメリカのチーム事情 選手移籍が頻繁なためランクBのチームがランクAのチームになりにくいジレンマがあります ランクCのトップアマの選手も同様、好成績を収めた選手は上位のチームに引き抜かれていきます 選手の流出を防ぐために、プロチームはチームの強さと同じくらいチームのブランド力や環境の整備の重要度が高いです 特にトッププロチームでは、メディア露出、ファン活動、選手待遇、など多くの分野でレベルの高い活動がなされています トッププロチームはどこのチームも強烈なブランド力を持っており、各トッププロチームのメディア戦略やクリエイティブを見るだけでもとても刺激になります トッププロ以外でも、どんなアマチュアチームからプロまでクリエティブのレベルが高いのも特徴です アメリカの大会事情 毎日のようにオンラインの賞金(数千円から数万円)付き大会が行われています プロ選手なども、これらの大会を練習代わりにプレイしていたりも頻繁にやっています 週末には賞金付きオフライン大会もシーズンによっては開催されています 大会形式は多く、5v5の通常のCWLルールの大会に加え、S&Dルールで1v1、2v2、3v3などいろいろな形式で賞金付きの大会が催されています 18歳以下のプレイヤーは、賞金付きの非公式大会に毎日のように参加している人も 今年までの日本の大会事情 BO4シーズンまで日本はCWLの参加国として認められていませんでした そのため、世界の舞台で戦っているチームと大きく差をつけられた状態からのスタートになりました 競技としての歴史が浅く、海外プロとはゲームプレイの基礎知識の面から国内の大会環境まで大きく差をつけられています 【用語解説】 ダブルエリミネーション 大会形式の一つ。 トーナメント開始時、全てのチームがウィナーズ(勝者枠)側に配置される。 ウィナーズで試合に勝利したチームは、そのままウィナーズ側で生き残ったチームと次の試合を行っていく。 ウィナーズ側で負けたチームはそこで脱落…というわけではなく、ルーザーズ(敗者)側に再配置され、ルーザーズ側に落ちたチーム同士でトーナメントを行っていく。 ルーザーズ側で敗北すると、トーナメントから脱落となる。 決勝では、ウィナーズ/ルーザーズそれぞれで生き残ったチームが戦う。 この時、ウィナーズ側は一度勝利すれば優勝なのに対し、ルーザーズ側は優勝するために二度勝利しなければならない。(一度目の勝利で帳消しに戻りウィナーズと並んで、二度目の勝利で優勝、というイメージ) ロスター チームの公式戦に出場する選手枠。 いわゆる「スタメン」を指す。
2018年BO4シーズン。 日本がいよいよCWL(Call of Duty World League = CoD公式世界大会)に正式参戦が可能となりました。 去年のアナハイム大会は、本当に日本から初めての世界挑戦ということで右も左も何もわからず、ただ打ちのめされて帰ってきた...